
『鋼の錬金術師』は、『月刊少年ガンガン』にて連載された荒川弘による日本の漫画作品。
それを原作としたアニメとして、2度に渡る矢継ぎ早なアニメ化がなされた珍しい作品でもある。
鋼の錬金術師のアニメには、2種類あり、2003年に制作された初期バージョンは
当時かなりの人気を博していた漫画のアニメ化は必然とされ、アニメ化されたものの
原作はまだ完結に至っていなかった。その上で原作者自ら『アニメと言う違うメディア上で
漫画と同じ内容である必要は無い』と言う発言の元、既に連載されたエピソードはそのままに
中盤や終局面に置いてはアニメオリジナルのストーリー展開がなされた。
ただし、展開されたアニメオリジナルのシナリオは原作とはかけ離れてしまい
原作者の意図であった『根底の部分を取り違えなければ何をしても構わない』と言うは無視され
悪改とも言うべき形で結末を迎えてしまう事となった。
後にその事に関してはアニメスタッフからも謝罪の意を発表された。
しかし、商業的戦略から人気アニメ作品の劇場版の制作も盛んであった為に
悪改されたオリジナルストーリーの完結編と言う形で『鋼の錬金術師 シャンバラを征く者』は
制作され大ヒットとなったのは皮肉と言える。
ただし、完結編と銘打つもののその内容は薄く、物語が完結したとは言い難い結末を迎える為
評判はあまりよくない。(よくある『俺達の冒険はこれからだ!』的な投げやりな感も受ける)
そして、原作ファンやアニメオリジナルのストーリーでは納得が行かなかったファンも多く、
鋼の錬金術師の根強い人気から、新たに『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』として
ほぼ原作どおりのストーリー展開と言う形で、2009年4月から2度目のアニメがスタートした。
しかし、ファンの間で懸念された、『一度観た事があるもの』を再度見せられるのではないかと言う
不安も囁かれたが、本作品はある程度原作ファン向け、また初期バージョンを観た人でも受け入れ易い様に
要点をまとめた形となっていて、本筋にあまり関係ないエピソード等は省かれていたり
登場人物がカットされていたりと、完全に原作通りと言う訳ではないが、大筋のストーリーは
原作どおり進み、また初期バージョンで言う中盤までの展開は当作品では10話前後で迎えるほどの
早いテンポで進められている。
その為、エルリック兄弟に失脚させられたヨキのエピソードが無いままに、ヨキはエルリック兄弟を
憎み、失脚後の姿で登場する等、少し無理が生じているのも否めないが、後の回想シーンで
フォローを入れる等、様々な形で工夫が施されている。
■ストーリー
当作品の主人公であるエルリック兄弟は、幼い頃に父は家を出て帰らず、母も早くに亡くしてしまう。
この世界では、錬金術と呼ばれる科学技術が発達しており、等価交換と言う条件の下、
あらゆる物質から様々なものを練成し、作る事が出来た。その技術を持った者は『錬金術師』と呼ばれた。
エルリック兄弟の父も錬金術師であった為、父の書斎で書物を読み漁り、錬金術を学び、幼くして亡くした
母を蘇らせようと錬金術では禁忌とされていた『人体練成』を行ってしまう。
しかし、その人体練成は失敗し、兄エドワードは左足を失い、弟アルフォンスはその場から消え去ってしまった。
だが、そのお陰で兄のエドワードは錬金術の『心理』を垣間見る事になり、この世から消え去った
弟アルフォンスの魂をその部屋にあった鎧飾りに繋ぎとめる事に成功する…が、
その代償に兄エドワードは右腕を対価として失う事となった…。
母を蘇らせる事も出来ず、身体の一部を、また全てを失ってしまった兄弟であったが、
自分達の失った身体を取り戻せるかもしれない『賢者の石』と呼ばれる強大な力を持つ石を求めて
二人は自分達の家を焼き払い、後戻りの出来ない決意の旅へと出るのであった…。
○レビュー
『鋼の錬金術師』は当初初期のアニメで作品の存在を知り、原作漫画を読んでファンになりましたが
上記にもある通り、原作とは違うアニメオリジナルストーリーと言うものに疑問を抱いていました。
『原作が終わっていないのに、アニメには完結がある』と言う事に納得が行かなかったのです。
もちろん、初期バージョンもそれなりに面白い作品ではありますが、結末に関しては原作と比べて
少々チープな印象を受け、また登場キャラクターそれぞれの個性も活かし切れていない感もありました。
その上での劇場版で完結編と言う事で観るには観ましたが、これもあまり芳しい出来ではありません。
そして、2度目のアニメである『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』を現在進行形で観ている訳ですが
こちらは初期バージョンや原作を見ていなくてもすんなりと入っていける形に非常に好感が持てます。
また、シリアス一辺倒ではないのである程度コミカルな部分も『ハガレン』らしさがしっかりと
表現されていて非常によい作品となっていると思います。
ただし、まだ結末までは至っていませんので、総評などは出せませんが、
近年稀に見る良作アニメ作品であると、言い切れます。
機会があれば是非見て頂きたい作品です!